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内製すればすぐ終わるのに外注しなければならない状況とは?

この記事の内容は次のとおりです。

はじめに

「このくらい、自分たちでやれば半月で終わるのに…」

これ最近めちゃめちゃ思いませんか?AIやIaCで楽にコード書けるようになったからより感じます。

コードを書く時間は短くなったのに、見積依頼 → 稟議 → 契約 → 着手待ち → 納品 → 検収という流れは昔のままです。作業そのものが速くなったぶん、その前後の手続きの長さがかえって目立つようになりました。

この流れが当たり前になっている背景には、IT人材がどこにいるかの偏りがあります。日本ではIT人材の約72%がITベンダー(SIer)側にいて、システムを使うユーザー企業側にいるのは約28%です。一方アメリカでは、ITベンダー側が約35%、ユーザー企業側が約65%と、日本とちょうど逆転しています。自社にエンジニアが少ないので、自社のシステムを変えたくても、まずは作ったベンダーに頼むことになるわけです。

内製化とは、外部に委託していた開発・運用・改善を自社メンバーで担えるようにすることです。本記事では、技術的には内製できるのに外注せざるを得ない状況を整理し、そこから抜け出すための考え方をまとめます。

各状況の例は、公開されている解説記事と一般的な現場の傾向をもとに筆者が整理したものです。

内製と外注で何が変わるのか

内製は気づく・修正・リリースの3段階で終わるが、外注では気づいてから修正に入るまでに依頼・見積、稟議・契約、着手待ちが入り、修正のあとにも検収が入る図。修正そのものの作業は同じ 内製 気づく 修正 リリース 外注 気づく 依頼・見積 稟議・契約 着手待ち 修正 検収 リリース 依頼から着手までの待ち時間 受け入れの確認

点線の箱が、修正そのもの以外に増える手続きです。修正の作業量は同じでも、外注では「依頼から着手までの待ち時間」と検収が加わります。AIで修正が速くなるほど、全体に占めるこの待ち時間の割合は大きくなります。

外注は専門力で確実に進められる反面、細かな変更のたびに依頼が必要になり、社内に知見が残りにくい面があります。

外注せざるを得ない7つの状況

#状況内製なら外注だと
1契約上の制約(保守範囲・著作権・独占的な運用)自分たちで直せる外注先にしか触れない
2環境・権限の壁(本番環境、ソース、DBに触れない)直接確認して修正調査依頼から始まる
3ブラックボックス化(設計意図・仕様書がない)社内で把握できる外注先しか分からない
4調達・稟議ルール(少額でも承認が重い)すぐ着手見積・契約で数週間
5セキュリティ・監査要件(担当分離、委託先認定)社内統制で完結外部のほうが通しやすい場合も
6人員・工数の制約(人はいるが余力がない)本来は可能外へ出すしかない
7責任の所在(障害時の責任を契約で切り分けたい)自社責任契約で明確化

1〜3: ロックインと知識の空洞化

システムは動いているのに、「なぜこの設計なのか」を社内で説明できる人がいない状態です。仕様変更のたびに外注先へ依頼することになり、コストも時間もかかります。

全面的に丸投げすると設計意図が社内に残らず、変更のたびに外注先へ依頼することになり、切り替えたくても切り替えられず、価格・納期の交渉力が落ちて、さらに丸投げに戻る循環の図 全面的に丸投げ 設計意図が社内に残らない 変更のたびに外注先へ依頼 切り替えたくても切り替えられない 価格・納期の交渉力が低下 また丸投げに戻る

4〜7: 組織・制度の要因

  • 稟議や購買ルールが「外注前提」で作られている
  • 内製メンバーが本業で埋まり、改善業務に工数を割けない
  • 内製した成果物を保守する体制(属人化の防止、品質の担保)がない
  • 契約書で責任主体が明確なほうが安心、という組織文化

こちらは、AIでコードを書く速さが上がっても変わりません。稟議の段数や責任の切り分け方は、技術ではなく組織の決めごとだからです。

外注が合理的なケース

すべてを内製するのが正解ではありません。内製と外注の線引きは、全社一律ではなく業務領域ごとに評価するほうが現実的です。

判断軸内製向き外注向き
事業競争力への直結度差別化の源泉業界共通の定型領域
変更頻度頻繁に変わるめったに変わらない
専門性自社に蓄積すべき中核高度専門で育成が非効率
需要の波継続的に発生一時的に大量の開発力が必要
ノウハウ設計意図を残したい結果だけ得られれば十分

単発・短期(6ヶ月以内など)のプロジェクトや、MVPでの仮説検証は外注が向くとされます。

事業の中核かどうかで分け、中核なら変更が頻繁かで内製かハイブリッドに、中核でなければ単発・短期かで外注か、SaaS・パッケージの検討に振り分ける条件分岐図 開発したい 事業の中核か? 変更は頻繁か? 単発・短期か? はい いいえ 内製 ハイブリッド 外注 SaaS・パッケージも検討 はい いいえ はい いいえ

抜け出すためのアプローチ

共創(一緒に作る)から移管(知識・権限を渡す)を経て、自走(社内で回す)へ進む3段階の図 共創一緒に作る 移管知識・権限を渡す 自走社内で回す
  1. 契約を見直す: ソースコードや設計書の納品、運用範囲を明確にする
  2. 権限・環境を整える: 読み取り専用アクセスやステージング環境を内製側にも用意する
  3. ドキュメントを残す: 外注のたびに設計意図を言語化してもらう
  4. 段階的に移す: 上の図の「共創 → 移管 → 自走」の3段階で進める
  5. ハイブリッドにする: コアや変更の多い部分は内製、安定領域や繁忙期は外注

いきなり完全内製を目指すと、人材育成・属人化・品質担保の課題がまとめて降りかかります。目的は外注費の削減ではなく、スピードと学習です。

おわりに

「内製か外注か」は二択ではなく、どの部分を社内でやり、どの部分を外部に頼むかという問いです。

「内製すればすぐ終わるのに」と感じたときは、技術ではなく、契約・権限・知識・ルールのどこが詰まっているのかを見直すところから始めてみてください。

参考