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経営者の方に知ってほしい、出社が効く場面と効かない場面

この記事の内容は次のとおりです。

はじめに

正直に言うと、私は出社があまり得意ではありません。

私にとって、出社のコストはこんなところです。

  • 通勤で時間と体力が削られる
  • 緊張して肩がこり、頭も固くなる
  • 周りの話し声で集中できない

最近は出社回帰を打ち出す会社も増えています。出社にはこうしたコストもあるので、「どんな場面で出社するのか」がはっきりしていると、社員も納得して出社しやすくなると思います。

実際、出社のメリットがコストを上回る場面は確かにあります。この記事では、それがどんな場面なのかを、現場で開発している立場から整理します。

開発には「決める」と「作る」の2つのフェーズがある

開発は大きく2つのフェーズに分けられます。

  • 意思決定フェーズ:要件や設計方針を、メンバー同士ですり合わせる
  • 作業フェーズ:決まった仕様をもとに、各自が集中して実装する

作業フェーズはリモートの方が有利です。通勤がない分、まとまった集中時間を取りやすく、周りの話し声に邪魔されることもありません。

一方、意思決定フェーズは対面の方が有利です。リモートでは相手に質問を投げてから返事が来るまでに間が空きやすく、やり取りが止まりがちになるからです(岡田雄太氏のnoteでの整理を参考にしています)。

特に開発の立ち上げ期は、この意思決定フェーズが一番多くなる時期です。出社する価値が一番高いのは、このタイミングです。

実例:STORESの開発合宿

STORES株式会社は2025年2月〜4月にかけて、新プランのリリースに向けて全員出社で開発しました。振り返りでは、一番の価値は「必要なときに必要なやり取りができる環境」だったとまとめられています。

ただし、大事なのは物理的な距離よりも心理的な距離で、常時つなぎっぱなしの音声チャンネルなどでも近い効果は作れる、とも書かれています。出社はあくまで手段の1つ、ということです。

なぜオンラインでは足りないのか

「Google Meetならチャットも残るし、オンラインでも十分では?」と思うかもしれません。

しかし、チャットに残るのは発言の文字だけです。表情や声のトーン、「今ちょっと納得していなさそう」といった空気は残りません。

一般社団法人オンラインコミュニケーション協会の検証では、Web会議でビデオをOFFにすると、合意形成に時間がかかり、意思決定の質も下がるという結果が出ています。意見が割れたとき、発言内容だけでは判断材料が足りず、相手の表情などを手がかりにしているためです。

顔が見えないだけでこれだけ差が出るなら、同じ場所で話す対面との差はさらに大きいと考えられます。

どう使い分けるか

出社を効果的に使うなら、期間を区切るのがよいと思います。

  • 立ち上げ期(要件定義〜設計の合意まで)は集中して出社する
  • 仕様が固まったら、リモート中心に戻す
  • 出社する日は「何を決める日か」をはっきりさせておく

まとめ

出社の価値は、いつでも同じではありません。チームで何かを決めるフェーズでは大きく、各自が手を動かすフェーズでは小さくなります。

冒頭に挙げた通勤の疲れや集中しづらさは、作業フェーズではそのままデメリットとして残ります。出社の方針を決めるときは、「いつ・何のために出社するのか」まで決めておくと、出社のメリットを活かしやすくなります。「全員毎日出社」か「完全リモート」かの二択ではなく、フェーズに合わせて切り替えるのが合理的だと考えています。

参考